[分報] でテレワークの コミュニケーション不足を解消する
テレワークのコミュニケーション不足
2020 年は、世界情勢的にテレワーク(リモートワーク)が普及した年です。
この時期にテレワークを経験した、今も実施している方は多いと思います。
テレワークはメリット / デメリット両面大きく、従来の働き方からいきなり切り替えるのは難しいところがあります。
そのひうつは コミュニケーションが取りにくい ことです。
たとえば「喫煙者部屋のおしゃべり」など、「近くにいることでごく自然に生じるコミュニケーション」というものは、テレワークに期待することはなく、どうしても接点が減ってしまいます。
そして、連絡手段はテキストが主体になりますが、 それまで会話で済んでいたものが、テキスト入力に置き換わることの煩わしさ、ストレス はかなり大きいですよね。
文字を打つことは面倒くさいですし、下手な文章を読むことも面倒くさいです。
しかも、文字として残るもののため、ヘタなことを言わないかと気にすることもあります。
そのような面倒臭さも手伝って、気がつくとコミュニケーションが減ってゼロになっていた、ということも起こりやすいと言えます。
数少ないコミュニケーションの場が静かだと「プロジェクト進行してる感」が感じられませんし、なかなか辛いです。
「分報」 で発言の場を用意する
テキストチャットをうまく活用するひとつの方法が、 Slack ユーザにじわじわ認知されている 分報(ふんほう)
ではないかと思います。
私は、 分報
を活用しているプロジェクトに参加し、 3 年が経過しました。
そこで、 分報
をうまく組み込めむことができれば、 テレワークでも寂しさを感じない密なコミュニケーション が取れるようになると改めて感じました。
分報
でよく紹介される記事がこちらです。
Slackで簡単に「日報」ならぬ「分報」をチームで実現する3ステップ〜Problemが10分で解決するチャットを作ろう
http://c16e.com/1511101558/
上記の記事をおさらいします。
まず、日報には次の弱点があります。
- 1 日 1 回の日報では遅く、時間ロスが大きい
- 解決済みの課題が表面化しにくい
この弱点を補うための対策が 分報
です。
具体的に次に行うことを示します。
- Slack を利用し
- メンバーひとりひとりにチャット部屋を作り
- 自由発言の場として使ってもらう
この各自に割り当てたチャット部屋が 分報
です。
なぜ Slack
分報
は、前提として Slack を利用しますが、それは、 Slack
が「チャット部屋を作りやすい」ためです。
チャットツールは通常、
- まずアカウントを作り
- そのアカウントにチャット部屋を紐づけ
というスタイルが多いです。
「アカウントが基準」の場合、部屋を作った人がメンバーを決めるのですが、
- メンバー以外には「その部屋」があることすらわからない
- 新人さんがくると都度メンバー追加が発生してコストが高い
のですよね。
Slack
は、まずワークスペースという大きな箱を作ります。
そして、ワークスペースにメンバーを招集します。
メンバーは「基本、すべてのチャット部屋(チャンネル)が見え」ます。
一度ワークスペースに Join すればよく、「どのチャット部屋にどのメンバー」のようなことを意識することはほぼありません。
このような仕組み的な違いが、 分報
のようにたくさんのチャット部屋(チャンネル)を用意することと相性が良いのです。
なぜ個人のチャット部屋を作るか
個人のチャット部屋を作る理由は 2 点あります。
-
情報が錯綜しないようにするため
並行して複数の話題が展開すると「どこに対する返答か」を追うのが大変となる -
所有感を出すため
共有部屋だと他メンバーに遠慮が出て発言しにくくなる
このあたりは良く考えられていると感じます。
分報
を活用するために
分報
は、日報とはスタンスがまったく異なるものです。
そのため、 日報の延長で「マネージャーだけが読むもの」でスタートしてしまうと、メリットが活かせない と感じます。
何でも、自由に、雑談も許容
日報は「上司に報告するもの」という意味が強くなってしまいます。
分報
はずっとカジュアルです。
Twitter 感覚で発言する、くらいの気持ちの方が良いです。
「報告しよう」とすると「報告しても良いもの」だけが書かれる、というように発言にフィルターがかかりやすいです。
しかしこれでは、本当にキャッチアップしたいこと(詰まっていること、困っていること)が書かれないのですね。
メンバー各自が「何を報告するか」というフィルターを働かせるよりは、「何でも自由に発言して OK 」というスタンスで動いてもらうほうが、メンバーの素顔、よりリアルな姿を知ることに繋がります。
「何でも自由に発言して OK 」のため、「腰痛い」や「お腹へった」みたいな発言も許容するし、メンバー間の雑談も許容します。
これがうまくいくと、確実にノイズは増えますが、有意義な情報も出てくるし、メンバー間の関わりが勝手に増えてくるのです。
そのため、各自が(主にマネージャーが)「そういう発言も OK 」と意識を改めることがスタートだったりします。
「心理的安全性」とかいうやつですね。
時には雑談が止まらないこともあります。
そのため、とくにマネージャーが
それでも OK
雑談も、チーム全体を盛り上げるためのもので必要なコストだよね
意識を持つことが重要で、逆に言うと個々をしっかり理解しなければ尻すぼみになりやすいです。
また、ハッキリ言いますが、上から管理しようという雰囲気が出てしまうと機能しなくなるところであるため、企業風土がアレな場合は馴染まないです。
読んでもいい、読まなくてもいい
分報
を導入すると、メンバー数だけチャット部屋が増えます。
後からチームにジョインした人は チャット部屋が多いことにまず驚く というのがあります。
メンバーによっては「チャットを全部見なくては !」という義務感を感じる方もいます。
チャットを見ること自体が仕事ではありませんので、まじめに読み込むことはロスも多いのですが、そのあたりも自由に、個人の裁量でやるべきですね。
しかし、困っていることをつぶやくことで、スピーディーな問題解決につながることは少なくなく、チャットを巡回することがチーム全体への貢献になる面もあります。
実際 Google で調べて時間をつぶすよりも、社内の有識者がスッと回答を示すほうが圧倒的に早く解決できることが多いです。
さらに、取りを傍で見ている ROM メンバーにも知見が溜まっていく、という作用もあります。
あまりにもチャットに没頭し、作業が進捗 0 なのは良くないですが、不思議とそこまでにはならないんですよね。
集中してコーディングしたいときや、自分の作業が詰まてチャットをみている余裕がないとき、はあります。
変に「読め」「読むな」というよりは 「 チームメンバーに関わりたいというナチュラルな気持ち 」にまかせるのが良いです。
みんなで助け合うチームを構築できるかも
昔、日報にとても困っていることを書いて提出したのに、上司から返事がない、読んですらいない、みたいなことで憤っいた同僚の姿を思い出しました。
他の仕事をたくさん抱えている中で、マネージャー層だけがメンバーの気持ちを受け止める、というのはキャパ超えになりやすいですよね。
それよりも 分報
で相互のコミュニケーションを活発化させたほうが良い、という気がします。
プロジェクトにはメンバーがいても、仕事部屋ではいつも一人
テレワークは孤独との戦いでもあり、孤独に耐えられない人には向かないかな、と思っていたのですが、 分報
のような仕組みを用意しそれを活用できれば孤独感はほぼ緩和されるだろと思います。
顔が見られる機会は、別途あったほうがいいですが、今後はネットとリアルをうまく組み合わせることが求められると思います。
なお、 IT 系では リモートワーク
という表現が多数派に感じますが、世間一般では テレワーク
だと思いますので、表記をそちらに寄せました。